刺さるリリース構成 — 見出し・リード・本文でストーリーを作る

1:「刺さるリリース構成」

プレスリリースの作成において、最も重要な要素の一つは、内容を正確に伝え、記者が短時間で理解できる構成(刺さるリリース構成)を採用することです。多忙なメディア関係者は毎日大量のプレスリリースに目を通すため、情報が整理されていない文書は、読まれることなく見過ごされてしまいます。

公式文書であるプレスリリースは、「タイトル」「リード文」「本文」「画像」「連絡先」の5つの基本構成要素で成り立っています。この基本構成に沿って書くことで、情報が整理され、メディア関係者に伝わりやすくなります。

2:プレスリリースの基本構造(逆三角形)

プレスリリースの本文構造は、「逆三角形」の構成が鉄則です。この構成は新聞記事の基本的な書き方と同じであり、最も重要な結論や事実から先に書き、徐々に詳細な情報、背景、補足情報へと展開していく手法です。

  • 結論ファーストの原則:プレスリリースでは、結論である「伝えたいこと」「取り上げてほしいこと」を真っ先に書くことが求められます。結論が文末にあると、最も重要なポイントに辿り着くまでが長くなり、読んでもらえなくなります。
  • 構成の流れ:具体的な書き方としては、**「結(結論)、起(背景)・承(本題)・転(展開)」**の構成で書くことが推奨されています。まず結論から書き(結)、その後に発売の理由や旧モデルの問題点(起・承)が続き、最後に展開や今後の展望(転)を説明します。
  • メディア側の利点:この逆三角形の構成により、記者は冒頭を読むだけでニュースの核心を掴むことができ、紙面や文字数の制限に合わせて要点を損なわずに記事の長さを末尾から調整しやすくなるというメリットがあります。

3:見出しの作り方、文字数

タイトル(見出し)は、プレスリリースの中で最も重要な要素であり、「顔」とも言えます。記者はまずタイトルを見て、そのリリースを読むか読まないかを一瞬で判断します。

  • 文字数の目安:タイトルは、30文字程度にまとめるのが理想とされています。これは、メールの件名やGoogle検索結果などで表示される際に途中で切れてしまうのを防ぐためです。
  • キーワードの配置:興味を引くキーワードは、なるべく前方15文字以内に配置しましょう。人間がひと目で把握できる最大文字数は13文字と言われています。
  • 具体性を持たせる:「誰が、何を、どうしたのか」が一目でわかるように、具体的かつ簡潔にまとめることが重要です。具体的に伝えるためには、曖昧な表現や形容詞は避け、数字や固有名詞を使用しましょう。
  • ニュース性を意識ニュースバリュー(新規性、社会性、時事性など)を意識し、「日本初」「業界初」「新開発」といったキーワードを入れると効果的です。

4:見出しの良い例・悪い例

【良い例/テクニック】

  • 数字と固有名詞の使用:具体的な数字を入れることで客観性とインパクトが増します(例:売上〇〇個達成営業利益〇%アップなど)。
  • ニュースバリューの強調:社会的意義のあるキーワード(SDGs、ジェンダーなど)や新規性のあるワード(日本初業界初)を盛り込む。
  • 範囲を絞る:最上級表現(日本初など)は根拠が必要ですが、**「◯◯県初」「◯◯業界初」**のように範囲を狭めることで独自性を出しやすくなります。
  • サブタイトル活用:メインタイトルで伝えきれない補足情報や背景をサブタイトルで補うのも有効です。

【悪い例/避けるべき表現】

  • 漠然とした表現:「新しいサービスを開始します」 や「〜について」 など、内容が抽象的で不明瞭なタイトル。
  • 誇張表現:「優れた」「素晴らしい」「最高の」「画期的な」といった主観的な形容詞は避けるのが基本です。これらは企業の主観であり、信頼性を損ないます。
  • 感嘆符の多用:「!」や「!?」を多用すると、煽り文のように感じたり、文章が幼稚になりがちなので、メディアが敬遠しやすくなります。
  • 長すぎるタイトル:1行あたり25~30字未満の目安を超え、長すぎるタイトルは読み手が途中で読む気を失うリスクが高まります。

5:リード文の構成(250〜300字)、結論 → 背景 → 要点、5W1H

リード文は、プレスリリース全体の要約として、タイトルの次に記者が目を通す部分です。本文を読まなくても、ここだけ読めばニュースの概要が理解できるようにまとめることが重要です。

  • 文字数/長さ:理想の目安は250〜300字程度(5〜6行程度)で、最大でも400字以内(一部ソースでは500字以内)に収めることが推奨されます。
  • 構成:必ず結論から先に書き始めるのがセオリーです。
  • 要素:ニュースの基本要素である**「5W1H」**を簡潔に盛り込みます。
    • 5W1H(Who, What, When, Where, Why, How)に加えて、「How much(金額)」「How many(数量)」を含めた5W2Hを意識すると、さらに具体的になります。
    • さらに、今後の**「展望(Future)」**を加えることも推奨されています。
  • 表現の注意点:冗長な表現や、専門用語は避け、一般の方でもわかるように簡潔にまとめましょう。

6:本文のポイント、詳細 → ストーリー → 引用コメント、社会課題の提示

本文は、リード文で示した内容をさらに詳しく、具体的に説明する、プレスリリースの核となる部分です。

  • 詳細・特徴(具体的な内容):リード文の内容を深掘りし、商品やサービスの具体的な機能、スペック、他社との差別化ポイント、利用することで得られるメリットなどを記述します。箇条書きや図、表、グラフなどを活用して、情報を分かりやすく整理し、視覚的に読みやすい内容にすることが重要です。
  • 社会課題・背景の提示(Why):本文では、リード文の内容を受けて**「Why(なぜ)」の要素を詳しく展開することが求められます。なぜこの商品やサービスを開発したのか、どのような社会課題を解決するのか**、といった背景や目的を深く掘り下げて記載しましょう。記者は「Why」がないと記事にならないこともあるくらい重要な部分であるとされています。
  • ストーリー性:開発の背景や目的を説明する際に、ストーリー性を持たせることで、読者の共感を呼びやすくなります。特に、開発過程における転機や苦労した点など、**担当者の想いや生の声(”人”)**が伝わることで共感につながります。
  • 引用コメント(熱意・リアリティ):代表者や開発担当者のコメントを入れることで、情報にリアリティと熱意が加わります。コメントを通じて、今後の展望やビジョンを示すことも可能です。
  • 客観性とデータ:広告的な表現は避け、具体的な数字や客観的なデータを用いて説得力を持たせます。

7:構成テンプレートの提示、そのまま使える骨格図

読まれるプレスリリースには、守るべき「型」があります。テンプレートを活用することで、構成の整った分かりやすいプレスリリースを効率的に作成できます。

プレスリリースの基本的な構成要素と、そのまま使える骨格は以下の通りです。

構成要素役割と内容
発信日・発信者情報プレスリリースを配信する日付(西暦)と、企業や団体の正式名称を記載します。
タイトルニュースの核心を凝縮。30文字程度で、誰が何をどうしたのかを具体的かつ簡潔に伝えます。
リード文プレスリリース全体の要約(250〜300字目安)。結論から先に。5W1H(+2H/F)を簡潔に網羅します。
キービジュアルリード文の下に、サービスのイメージや利用シーンが伝わる、高解像度の画像を配置します。
本文**逆三角形(結、起・承・転)**の構成で、リード文の内容を詳細に説明します。背景、目的(Why)、具体的な特徴(箇条書き推奨)、ストーリーや今後の展望、関係者のコメントなどを盛り込みます。
製品・サービス概要製品名、価格、発売日、販売チャネルなどの具体的な情報を箇条書きなどでまとめます。
問い合わせ先メディア関係者からの問い合わせに対応するため、広報担当者名、直通の電話番号/メールアドレスを明記します。
会社概要「ボイラープレート」とも呼ばれ、会社名、代表者名、所在地、設立年月日、事業内容などを定型文で記載します。
添付資料高解像度の画像や調査レポートなどの補足資料を、ダウンロード可能なURLなどで提供します。

全体のボリュームは、A4サイズで1〜3枚程度(500〜1,500文字程度が目安)にまとめるのが理想です。長文になりすぎる場合は、詳細な情報を別紙やウェブページへのリンクで提供しましょう。

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