配信とフォローアップ — 出して終わりから、つながる広報へ

1:「配信・投稿・フォローアップ」

プレスリリースは、作成して終わりではなく、配信後こそが広報活動の成果を最大化し、次なる一手へと繋げるための重要なフェーズです。プレスリリースの配信は、メディアに対する公式な発表行為であり、社会へのメッセージを届ける基本的なツールです。

配信後は、ただ反響を待つだけでなく、積極的なフォローも実施することで、情報の波及効果をさらに広げ、継続的な広報PRの成果を生むことができます。プレスリリースを配信した先には、ステークホルダーの認識を深め、行動変容を促すという広報活動の真の目的達成が想定されます。この目的達成のため、配信、投稿、フォローアップのプロセスを戦略的に進めることが重要です。

2:最適な配信時間と曜日(ゴールデンタイム)

プレスリリースは、配信するタイミング次第でメディアの反応が大きく変わるため、最適なタイミングを見極める必要があります。

ゴールデンタイムと推奨される時間帯

一般的に、記者が情報収集を行い、記事の企画を立てるのは平日の午前中であるため、火曜日から木曜日の午前10時〜12時頃が、プレスリリースが読まれやすい**「ゴールデンタイム」**とされています。

企業のコアタイムに沿って、午前10時〜午後3時の間に配信するのがおすすめという意見もあります。

避けるべき曜日と時間帯

  • 月曜日:週明けは会議や週末のニュース整理で忙しいため、重要なリリースは見過ごされる可能性があります。
  • 金曜日の午後:週末進行で慌ただしくなるため、じっくり読んでもらえない可能性があります。また、週をまたぐと情報が古くなるリスクもあります。

戦略的なタイミングの判断

最適なタイミングは絶対的な正解ではなく、自社の情報内容とメディアの特性に合わせて戦略的に判断することが求められます。

  • Webメディア向け:Webメディアは土日も更新するところが多いため、週末の外出や消費に関連するネタであれば、金曜日の夕方や土曜日の午前中に配信する戦略も有効です。
  • 緊急性:速報性が求められるニュース(重大な経営判断など)の場合は、曜日や時間に関わらず、事実が確定次第、速やかに配信する必要があります。
  • リードタイム:新商品やイベントなど関連する日付から逆算し、**メディアが記事を作成するのに十分なリードタイム(一般的には1週間〜数日前)**を確保した上で配信しましょう。

3:配信方法(PR TIMES/メール/SNS)比較表

プレスリリースを配信する方法は、目的や予算、リソースに応じて最適な方法を選ぶことが、記事化の確率を高める上で重要になります。

主な配信方法には、「プレスリリース配信サービス」「メディアリストによる直接送付」「記者クラブへの投げ込み」などがあり、これらを単独で使うのではなく、情報の内容や重要度に応じて複数の方法を組み合わせるのが理想的です。

配信方法メリットデメリット参照元
プレスリリース配信サービス(例:PR TIMES)多くのメディアに一斉配信でき、手間と時間を大幅に削減できる。・提携メディアへの転載保証があり、Web露出を確保できる。・Webサイトでの情報拡散を重視する企業におすすめ。・費用がかかる。・メディア担当者との直接的な関係構築は難しい。・配信先を細かく選別できない場合がある。
メディアリストによる直接送付(メール/FAX/郵送)・費用を抑えられる(メール送信費のみ)。・ターゲットメディアに合わせた個別アプローチが可能。・メディア担当者との**長期的な信頼関係(リレーションズ)**を構築できる。・最も効果が高い届け先である。・メディアリストの作成と維持に手間がかかる。・配信作業が煩雑で時間がかかる。
自社媒体/SNSでの発信・自社のファンや既存顧客に直接情報を届けられる。・企業の最新動向を公式に発表できる(企業の透明性向上)。・Webサイトへの掲載は最も手軽で簡単拡散力に限界がある(特にフォロワー数が少ない場合)。・メディアへの直接アプローチにはならない。

4:メール送付時の件名の作り方

メールでプレスリリースを送付する場合、件名は本文と同じくらい、あるいはそれ以上に重要です。記者はメールの件名を見て、そのリリースを読むか読まないかを一瞬で判断します。

件名作成のポイント

  1. 概要がわかるようにする: 件名を見ただけで、プレスリリースの概要がわかるように、最も伝えたいニュースの核心を簡潔にまとめることがポイントです。
  2. 文字数を意識する: メールの件名などで途中で切れてしまうのを防ぐため、30文字程度に収めるのが理想的です。
  3. 重要キーワードを前半に: 興味を引くキーワード(新規性、社会性、固有名詞など)は、なるべく前方15字以内に配置しましょう。
  4. 具体的なキーワードを含める: 曖昧な表現ではなく、数字や固有名詞を盛り込むことで、客観性と具体性が増し、インパクトを与えやすくなります。
  5. 個別アプローチを工夫する: 面識のある記者へ直接送る場合は、メールの件名や本文に記者名を入れたり、過去の記事に言及したりするパーソナライズされたアプローチが、開封されやすく、好意的に受け取られる可能性を高めます。

5:フォローアップの正しい方法

プレスリリースは「出して終わり」ではなく、配信後の反応を確認し、次なるアクションにつなげることが重要です。

配信直後のアクション(掲載確認と個別連絡)

  1. 掲載状況の確認(クリッピング):まず、どのメディアに、どのように掲載されたのかを把握する**「掲載確認」**(クリッピング)を行います。Googleアラートなどにキーワードを登録しておくと、関連する記事が公開された際に通知を受け取れます。
  2. メディアへの個別連絡:関心を示したメディアや、ターゲットとしていたメディアには、優先的に個別連絡を行いましょう。
  3. 補足情報の提供・取材の案内:メールや電話で、プレスリリースの補足情報を伝えたり、取材の機会を案内したりすることで、掲載につながることがあります。記者への「ラブレター」として、取材意図を直接伝えることで接点を深めるチャンスです。
  4. メディアキャラバンの検討:必要に応じて、記者のもとへ直接出向く**「メディアキャラバン」**を行うのも有効です。

情報拡散の最大化

  1. 自社媒体でのシェア:配信後、SNS(X、Facebookなど)やメールマガジン自社サイトの新着情報など、自社が持つ他の情報発信ツールと組み合わせて情報を広めましょう。
  2. 二次利用:掲載された記事やプレスリリース自体を、営業資料採用サイト公式ブログなどで二次利用することで、企業の信頼性をさらに高めることができます。

6:フォローアップ失敗例と改善例

フォローアップの失敗は、記事化の機会損失やメディアからの信頼低下につながります。成功へ向かうためには、メディアの視点に立たない**「出しっぱなし」**の状態を避けることが重要です。

失敗の原因(失敗例)改善策(成功へのポイント)参照元
単発の施策で終わるプレスリリースを継続的に配信し、広報活動のPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回す。
問い合わせ窓口が機能しないメディア関係者用の広報PR部門直通の連絡先を明記し、即座に対応できる体制(担当者2名体制など)を整える。
情報の網羅性が低いプレスリリースを見ただけで問い合わせをする必要がないように、情報を出し惜しみせず、網羅的に記載する。
記事化後の放置掲載状況をクリッピングで確認し、社内共有や、営業・採用資料としての二次利用を行う。
非個別的なアプローチ配信サービスの一斉配信だけでなく、ターゲットメディアの記者に合わせた個別アプローチ(過去記事の引用や熱意の伝達)を実施し、関係性を深化させる。

7:問い合わせ対応“即レス”の重要性

プレスリリース配信における重要なチェックリストの一つに、「問い合わせ窓口と対応フローの確認」が含まれており、特に問い合わせ対応は**「即レス」**が極めて重要です。

  • 取材チャンスの獲得: プレスリリースを配信して数分後に問い合わせや、当日に取材依頼が来ることもあります。特にテレビや新聞といったマスメディアは動きが速く、「今日、取材できませんか?」といった緊急の依頼がよくあります。
  • 機会損失の防止: せっかくメディアから連絡があったのに、半日でも返事が遅れただけで、取材機会を逃すケースはよくあります。その場で的確な回答を提供できない場合、再度連絡をもらえるかどうかわからず、メディアで取り上げてもらえるチャンスを無駄にしてしまうことにつながります。
  • 信頼性の維持: 問い合わせ・取材を受けた際にスムーズに回答を提供できない場合、プレスリリースや企業そのものの信頼が損なわれる可能性もあります。

対応体制: 問い合わせ先は、商品・サービスのカスタマー窓口とは別に、**広報PR部門直通の連絡先(メールアドレスや直通電話番号)**を記載し、日中いつでも迅速に対応できる体制を整えておくことが不可欠です。また、質問に備えて資料や対応マニュアルを準備しておくとよいでしょう。

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