効果測定とPDCA — 次に活かす広報の振り返り方

1:「効果測定と改善」

プレスリリースは、配信したら終わりではありません。むしろ、配信後こそが広報活動の成果を最大化し、次なる一手へと繋げるための重要なフェーズとなります。

広報活動の最終的なゴールは、生活者の認知や感情を変えること(意識変容)であり、情報を得た人に行動を起こしてもらうことです。この目的を達成するためには、配信した情報がどのように受け止められ、どのような影響を与えたのかを正確に把握し、評価することが求められます。

プレスリリースの効果測定は、広告のように投下費用に対する売上を直接測定することが困難であるため、さまざまな指標を用いて多角的に実施することが一般的です。効果測定の結果を分析し、施策の方向性を確認したり、改善につなげたりする(PDCAサイクルを回す)ことで、広報PR施策はより戦略的なものへと進化します。

2:直後に確認すべき指標

プレスリリース配信後、まず行うべきは**掲載状況の確認(クリッピング)**です。そして、問い合わせ対応は特に「即レス」が重要となるため、直後の問い合わせに備えることが必要です。

直後に確認すべき主な指標は以下の通りです。

  1. 問い合わせ件数・資料請求数:プレスリリースを配信して数分後に問い合わせや、当日に取材依頼が来ることもあります。半日でも返事が遅れると取材機会を逃すケースがあるため、問い合わせの増加を計測し、迅速に対応できる体制を整えることが、機会損失を防ぐ上で非常に重要です。
  2. メディア掲載数:Webメディア、SNS、オフラインメディアなどに、自社の情報がどれだけ取り上げられたかを確認します。
  3. SNSでの言及数・エンゲージメント:プレスリリースに関連するキーワードがSNS上でどれだけ話題になったか(投稿数、いいね、リポスト数など)を測定します。SNSの反響は、情報の拡散度合いや生活者の関心度を測るバロメーターになります。

3:掲載確認(クリッピング)のやり方

クリッピングとは、プレスリリースを配信した後、どのメディアに、どのように掲載されたのかを把握し、記事を収集・保存する作業を指します。クリッピングは、広報活動の成果を測るための基本的なデータとなります。

クリッピングの具体的な方法には、主に以下の方法があります。

  1. 検索エンジンの活用:GoogleやYahoo!などの検索エンジンで、社名や商品名、プレスリリースのタイトルに含まれるキーワードなどを検索します。検索オプションで期間を「24時間以内」や「1週間以内」に指定すると、新しい掲載記事を見つけやすくなります。
  2. Googleアラートの活用:関連キーワードを登録することで、新しい記事が公開された際に自動でメール通知を受け取ることができます。
  3. SNSでの検索:X(旧Twitter)やFacebookなどのSNSで、キーワード検索を行い、メディアの公式アカウントのシェアや、一般ユーザーの言及を確認します。
  4. 専門のクリッピングサービスの利用:新聞や雑誌、テレビといったオフラインメディアの掲載状況を網羅的に把握したい場合や、クリッピング作業に多くのリソースを割けない場合は、専門の調査会社が提供するサービスを利用するのが効果的です。

収集した記事は、媒体名、文字数、掲載内容の概要、自社単独記事か否かなどの項目を決めて記録し、広報PR活動のナレッジを蓄積するのにも役立てます。

4:効果測定のKPI設計

プレスリリースの効果を評価するには、配信前に設定した「目的」に立ち返り、**適切なKPI(重要業績評価指標)**を設定することが不可欠です。

広報PR施策の効果測定は難しいため、さまざまな指標を用いて多角的に実施することが一般的です。

指標の種類具体的なKPIの例参照元
定量的な指標掲載件数(媒体別)、広告換算値(費用対効果の参考値)、ウェブサイトへの流入数・PV数(Google Analyticsなどで測定)、SNSでの言及数・拡散数(情報の拡散度合い)、問い合わせ件数・資料請求数売上・会員登録数(事業への直接的な貢献度)
定性的な指標記事の論調(好意的/否定的/中立的)、メッセージの露出度(最も伝えたかったメッセージが正確に引用されたか)、掲載メディアの質(ターゲットとした重要メディアかどうか)、社内外からの反響

これらの指標を複合的に見て評価することで、広報活動の成果を正確に把握することができます。例えば、掲載件数が少なくても、ターゲットとしていた最重要メディアに好意的な記事が大きく掲載されれば、それは大きな成功と言えます。

5:営業・採用へ二次活用(成功事例)

配信したプレスリリースや掲載された記事は、企業の信頼性を高める強力な武器として、積極的に二次利用することが推奨されます。

  1. 営業・販促活動への活用
    • プレスリリース自体や、掲載された記事を営業資料に組み込むことで、「〇〇に掲載されました」という第三者からの評価を伝え、企業の信頼性を高めることができます。
    • 新商品のプレスリリースであれば、ブース番号や会場、問い合わせ窓口の記載を通じて、営業接点を取りこぼさないようにすることも有効です。
  2. 採用活動への貢献
    • プレスリリースは企業の公式な活動記録としてアーカイブされ、企業の成長の軌跡や歴史を誰でも閲覧できるようになります。
    • これは、就職活動中の人や採用候補者にとって、企業の魅力を伝えたり、企業文化の理解促進を促したりする貴重な資料となります。
  3. 情報拡散の最大化
    • 掲載記事やプレスリリースを、自社のウェブサイト、公式ブログ、SNS、メールマガジンなどで再発信することで、情報の波及効果をさらに広げることができます。
  4. 社内モチベーション向上
    • 掲載状況を社内で共有することで、広報活動への理解と協力を得やすくなるほか、社員のモチベーション向上にもつながります。

6:次回につなげるPDCAの回し方

プレスリリースを単発の施策で終わらせず、継続的な情報発信を成功させるためには、配信結果を分析し、次回の活動に活かすPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回すことが不可欠です。

PDCAサイクルの具体的な手順

手順内容参照元
P(計画:Plan)今回の結果(Check)を分析し、次回の目標と計画を立てます。どのようなメディアに、どのような切り口で取り上げられやすかったかを分析し、ターゲットメディア選定や内容の改善に活かします。
D(実行:Do)計画に沿ってプレスリリースを作成し、配信します。
C(評価:Check)配信結果を測定し、目標(KPI)の達成度や、記事の論調、キーメッセージの露出度などを確認します。**「なぜこの記事は多く読まれたのか」「どうすればもっと拡散されたのか」**といった課題を見つけ出します。
A(改善:Action)評価結果を分析し、次回の計画に向けた改善点を見つけます。この振り返りのプロセスを繰り返すことで、プレスリリース作成のノウハウが社内に蓄積され、より効果的な情報発信ができるようになります。

プレスリリースは「継続が命」であり、このPDCAサイクルを回すことこそが、広報活動をより戦略的なものへと進化させる鍵となります。

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